紛争地域から生まれた演劇5【アーカイブ】

紛争2
文化庁 平成22年度 次代の文化を創造する新進芸術家育成事業
国際演劇年鑑2011(2011年3月発行予定)特集企画
2010年度
紛争地域から生れた演劇2 パレスチナ・トルコ篇
2010年12月16日(木)、17日(金)、18日(土)、19日(日)
主催・企画 社団法人国際演劇協会(ITI/UNESCO)日本センター
会場:シアターイワト3階

リーディング
『唾の届く距離で』
作 タヘル・ナジーブ(パレスチナ)
作家自身によりアラビア語でリーディング(日本語字幕付き)


『唾の届く距離で』(パレスチナ) 作・出演:ターヘル・ナジーブ
シリーズ第2回より、2011年12月、イワト劇場にて上演
(写真)ターヘル・ナジーブ、撮影:奥秋圭


リーディング
『ヴェールを纏った女たち』
作 フェリドゥン・ザイモグル/ギュンター・ゼンケル作(トルコ) 翻訳 初見基
演出 赤澤ムック
出演 新井純、牛水里美、中里順子、こいけけいこ、赤澤ムック


『ヴェールを纏った女たち』(トルコ ) 作:F.ザイモグル,G.ゼンケル,演出・出演:赤澤ムック
シリーズ第2回(2010年12月)より 
(写真左より)こいけけいこ、新井純、赤澤ムック、牛水里美、中里順子、撮影:奥秋圭



『唾の届く距離』 12月16日(木)19時、18日(土)、19日(日)14時
『ヴェールを纏った女たち』12月17日(金)19時、18日(土)19時、19日(日)18時


シンポジウム1 「現在形の中東演劇」
パネリスト:タレク・フェトー、赤澤ムック、七字英輔  12月18日(土)16時 

シンポジウム2 「紛争と演劇の可能性」
パネリスト:タヘル・ナジーブ、小林勝也 12月19日(日)16時 


入場料:各回1000円、シンポジウムのみの参加は500円 
チケットのご予約  iti@parc-jc.org  メールにて取り扱います。
氏名、日時、枚数、作品名、住所、連絡先明記の上、お願いします。
またFAXでも同様に受け付けます。
お問い合せ TEL/03-3478-2189 FAX/03-3478-7218  


『唾の届く距離で』
作 タヘル・ナジ−ブ(パレスチナ) 
イスラエル国籍のパレスチナ人俳優の物語。
タヘル・ナジーブは1970年生れ、現在イスラエル在住の俳優、演出家、劇作家。ピーター・ブル
ックが「優れた演劇」を遥かに超える「本当の演劇」と絶賛。今回、作家自身が初来日しアラビ
ア語でリーディングします(日本語字幕あり)。

『ヴェールを纏った女たち』
作 フェリドゥン・ザイモグル/ギュンター・ゼンケル(トルコ) 
イスラム女性たちのショッキングな告白的モノローグ劇。
フェリドゥン・ザイモグルは1964年トルコ生れトルコ国籍の作家、ジャーナリストとして現在、ドイ
ツで活躍中。本作はドイツの演劇批評誌「テアターホイテ」批評家投票で2006年度後半期第2
位となった作品です。


主催・企画 (社)国際演劇協会(ITI/UNESCO)日本センター
制作協力 PARC―国際舞台芸術交流センター
協力 黒テント 技術協力 レイヨンヴェール
平成22年度文化庁芸術団体人材育成支援事業
本企画は調査研究・情報交流、国際演劇年鑑の一環事業です。





【資料】
【作品紹介】
2006年にベルリンのHAU3(ヘッペル・アム・ウーファー)で初演。トルコ系のアンダーグラウンド
映画監督ネコ・チェリクの演出による。全作品は10の≪独白≫で構成されているということだ
が、初演はその内の5つのみで上演された。ドイツに在住するイスラム教の信仰を持つ女性た
ちが、特に<性>について多くを語る内容となっている。作家はこの作品を書くにあたって、ベ
ルリンに住むトルコ女性40人以上にインタビューをし、語られている内容は作家の創作ではな
く、実際の女性たちの声が集約されたものとなっているという。本作はドイツの観客に衝撃を与
え、ドイツを代表する批評誌「テアターホイテ」の批評家投票で2006年度後半期の2位となっ
た。
ヴェールの下に人間性をひた隠しにしていると思われた西欧のイスラム教徒女性へのステレ
オタイプの理解を打ち砕き、後進性、抑圧、無知、盲信といった西欧文明の<他者>をイメー
ジされた<底辺>の女性たちが、知的で強靭、かつ信仰に対しても自ら自覚的に選び取った
という<声>が、強烈極まりないセリフとして語られ、観客に大きなショックを与えるとともに、
ザイモグルの名を一躍、演劇界でも認知させることとなった作品。



【作家紹介】
ザイモグル、ゼンケル(トルコ、ドイツ在住)紹介
1964年、トルコ、アナトリア地方のボルで生まれ、60年代末よりドイツに在住。キール大学で芸
術と人文医学を学ぶ。「ツアイト」、「フランクフルター・ルントシャウ」などドイツの代表的な新聞
にジャーナリスティックな文章を寄稿することで注目され、その後、映画脚本、小説などの執筆
を行う。ドイツで生まれ育ち麻薬売買を続けるトルコ人青年を描いた小説『カナク・アタック』は
映画化され、小説、映画ともに好評を得た。近年は彼自身の「母」の世代のトルコ人女性を描
いた500ページを越す大作『レイラ』を発表、小説家としてのザイモグルの評価は定まりつつあ
る。戯曲では、今回上演する『ヴェールを纏った女たち』が注目を集め、評価された。
ゼンケルは1958年、トルコ移民2世としてキールに生まれる。ザイモグルが戯曲を創作する際
に、その協力者として活動し、すでに数本の作品を共作している。


【作家紹介】
タヘル・ナジーブ(パレスチナ、イスラエル在住)紹介
1970年生まれ、俳優として「イスラエル劇場」で働き、また多くの映画作品に出演する。2005年
に戯曲『唾の届く距離』を発表、テルアビブで開催された国際演劇祭で上演され、最優秀賞を
獲得する。本作は、2006年、ピーター・ブルック、マリア・エレンの協力のもと、パリのブッフ・ド
ゥ・ノールで上演され、その後、チューリッヒ、マドリッド、シドニー、ロンドンのバービカン、ナショ
ナルシアター、ベルリンのシャウビューネで上演される。ヨーロッパ多数の国の言語に翻訳さ
れ、フランスでは仏語版、イギリスで英語版が出版された。

【パネリスト紹介】
タレク・フェトー(エジプト、ベルギー在住)
エジプト出身、ブリュッセルのEU本部近くに事務所を構える「ヤング・アラブ・シアター・ファン
ド」の代表者。初めてアラブ全域を対象としたフェスティバル(「ミーティング・ポイント」)を開催
する。このフェスティバルは、中東出身のアーチストを欧米に紹介し、中東地域での活動の機
会を与えることを目的としている。2007年の第5回「ミーティング・ポイント」は中東9都市(アレク
サンドリア、ベイルート、チュニジア、ダマスカス、ラマラ、ラバット、アマン、カイロ、ミニア)とヨ
ーロッパ二都市(ブリュッセル、ベルリン)で開催された。中東全域の創造的なプロジェクトの支
援をし、中東各国で活動するアーチストのネットワーク構築を行うことで、各国で困難な状況に
直面している芸術家、演劇人の下支えを行っている。



【企画の目的】 紛争地域から生まれた演劇 
世界各国の演劇活動の全体像を把握し、国内の読者に伝えることを目的に国際演劇協会(ITI
日本センター)では毎年、「国際演劇年鑑」を発行してまいりました。また一年間の日本の演劇
活動を各分野ごとにまとめた英文の「シアターイヤーブック」を世界に向けて発行してまいりま
した。

この「国際演劇年鑑」(日文)、「シアターイヤーブック」(英文)を通じた、世界の演劇人との双
方向の調査研究、情報交流活動の一環として、昨年から「紛争地域」に焦点を当てた「紛争地
域から生まれた演劇」をスタートすることとなりました。

紛争問題はその結果としての難民の欧米諸国への流入を引き起こし、また紛争への介入を通
じて各国で多くの政治的議論を巻き起こし、とりわけ社会との関係がより濃密な芸術である演
劇領域では、地域に限定されない世界演劇の重要なテーマとなりつつあります。こうした最新
の世界の演劇動向を、研究者を交えたレクチャーやシンポジウム、最新の戯曲リーディングを
通じて、これからグローバルな世界の中で演劇活動を行うことになる特に若い演劇人の視野
や見識を高めることに役立ち、国際的な演劇人を育成することを目的に国際演劇協会では本
企画を実施いたします。


●(社)国際演劇協会(ITI/UNESCO)日本センター
ITIはユネスコの演劇部門を担当する国際組織として計画され、1948年ユネスコ総会において
創設された。現在は86ヵ国が参加し、それぞれがナショナル・センターを持つ国際NGOであ
る。1962年3月27日、初めてITIがシアター・オブ・ネイションズ(「諸国民演劇祭」=国際演劇フ
ェスティバルの先駆け)をパリで開催した日を記念し、この日が≪ワールド・シアター・デイ≫と
なり、各国で記念行事が開催されている。また、1962年のジャン・コクトーをはじめとし、アーサ
ー・ミラー(1963)、ジャン・ルイ・バロー(1964)、ウジェーヌ・イヨネスコ(1976)、ピーター・ブルッ
ク(1988)、ヴァツラフ・ハヴェル(1994)などが、この日に世界の演劇人に向けメッセージを発信
してきた。
社団法人国際演劇協会(会長永井多恵子)は国内の演劇を海外に紹介する英語版≪シアタ
ーイヤーブック≫、海外の演劇事情を紹介する日本語版≪国際演劇年鑑≫の発行を行うな
ど、国際間の演劇交流の架け橋として様々な交流事業を実施している。

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社団法人 国際演劇協会(ITI/UNESCO)日本センター 事務局
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-18-1国立能楽堂内
TEL03-3478-2189 FAX03-34787218
E-mail iti@topaz.dti.ne.jp
Web http://www.green.dti.ne.jp/~iti/
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